2016年1月8日金曜日

たとえ話が上手な講師の条件

たとえ話が上手な講師の条件

まず習慣について考える


長い間使っていると本来と違う名前のそのままで使われていることがあります。

一例を挙げると、玄関にあるゲタ箱。
下駄が入っていますか?
筆箱に筆が入っていますか?
筆ペンすら入っていなかったりしませんか?

電車の網棚は、網じゃなくて金属パイプであったり透明な板になっていたりします。

これ、習慣的に使われている言葉はそのまま使わないと、理解できなくなってしまうからだと思うのです。
ある日、名前を変えると認知度が落ちてしまうと言うことです。

電子レンジをマイクロウェーウブオーブンと言われたら何のこと? と思われるわけです。
というわけで、仕方なく習慣で使っているのですね。

習慣的に使っている言葉はまだまだあります。

キツネ色は何色?

料理本を見れば、キツネ色になるまで炒めますなど書かれています。

ところで、最近、キツネを見たことがありますか?
たぶん、北海道の山道ではたまに遭遇しますけれど、普通に暮らしているとキツネは見かけません。
せいぜい、動物園にいる程度です。

そう考えれば、料理の伝承がされる頃は普通にキツネを見かけていたのだろうなと想像します。

もし、現代でキツネ色を表現するのなら、茶色になるまでと言うことでしょうか。
それでも茶色といえば、緑茶を思い浮かべる人もいますから、それも適切じゃないかも?
茶色を誰かに伝えてすぐわかるということは、当時のお茶は、ほうじ茶とかウーロン茶の色だったのでしょうね。

キツネ色の話に戻すと、むしろお揚げ(油揚げ)の方が認知度は高いでしょう。

ということで「お肉をキツネ色になるまで炒めます」という表現はこう変わります。
「お肉を油揚げ色になるまで炒めます」

たとえ話は一般常識が必要

さて、なんでこんな話を始めたかと言えば、たとえ話はある程度の認知度が必要と言うことです。

たとえ話を説明しなければ解らないのなら、その、たとえ話は不適切という事になるからです。

特に技術系のたとえ話は、近いようで遠いものばかりです。

技術系は、正確であろうとすればするほど、何を言っているか説明される側の知識も必要になっていくのです。
しかも、説明される側は、それほど正確なレベルの説明を望んでいないこともあるのです。

カレーライスを説明すると?

たとえば、カレーライスを説明する場合。
肉と野菜をどろっとするまで煮たシチューの一種。
普通は、ぴりっとする辛い味でご飯にかけて食べる。
日本人の多くが大好き。
外国人に説明する時もこれでいいはず。

これが、次ようになれば、尋ねた方がウンザリしてしまいます。

大航海時代にインド航路を見つけた東インド会社がスパイスを持ち帰ったことに起源を発して、英国海軍が正式にメニューに取り入れて……日本に最初に入ってきたときにはカエルのもも肉を使えと言われており……。

詳細すぎる説明は、説明になっていない

という説明は、詳細すぎるのです。
説明される方は、何を言いたいのかもわからなくなってしまう。
とりわけ、技術系でこのやり方で説明すれば、正確性は高くなるのでしょうけれど相手は理解できなくなります。

実はこれ、わたしがハイエンドIT系のインストラクターの時にやってしまいました。
ハイエンドとはサーバーの運用管理です。
このサーバーを説明するのが難しかったのです。
一言でサーバーと言っても、いろいろな種類があります。

正確に説明すると、本が一冊書けてしまう。
実際、過去に2冊ほど書いたことがあります。

で、一般の人に説明する時には、一行で済むことに気が付きました。

「サーバーとは、みんなが共有する特殊なコンピュータのこと」

一般の人に説明する時は、たいていはこれで足ります。
足りない人がいれば、その時にその人向けだけに説明してあげればいいのです。
全員に説明しようとするから、興味のある人と無い人の間で満足度の差が出来てしまうのです。
興味の無い人は飽きてしまうわけですね。

この辺の説明の差が講師の実力という事になるのですね。

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