2016年1月9日土曜日

頭の固い上司と硬直した組織に悩む担当者の話。


頭の固い上司と硬直した組織に悩む担当者の話。


上司が頭が固いので、どんな企画を出しても決裁が通りません!
どこの会社でも、必ず聞こえてくる話です。

ラテラルシンキングセミナーでの質問(愚痴ですかね?)のナンバーワンです。

ネットでもこの手の話題は頻出しているようですね。

QAサイトには次のような回答が寄せられていました。
 上司の頭が固いのじゃなくて、あなたが危なっかしいだけ。
 なぜ、社長に直訴しないのか?
 上司を嫌っているから上司も嫌うのでしょう。上司のお気入りになれば通り易い。
 そんなに会社が嫌なら辞めればいい。
 上司には立場があるから、とりあえずNGを出す。
 etc…

いやー、まさに百家争鳴。
たくさんの答えがあります。

逆に、上司の側では「最近の若い者は!」といっているはずです。
……間違いなく。

しかし、いつの時代でもこういった状況なので、
書店のビジネス書コーナーには、たくさんの本があふれています。

相手を説得させる話し方、
ロジカル説得術とか
Yesと言わせる心理学。

挙げ句の果てには、
催眠術をかけるて思い通りに相手を動かす本まで。

上司が催眠から覚めたらどうするんでしょうね?
企画を上司の上司に説明した時、
 LOTOのCMの柳葉敏郎のように「そんなもの初めて見ました」といわれるだけでしょう。
 http://www.youtube.com/watch?v=9S3lVIibn8c

ごめんなさい。
脱線が過ぎました。

上司も、すべてにNGと言っているわけではありません。
管理者だから、何らかの判断基準をくだしてNGを出しているはずです。

NG判断基準を明確にして欲しい


NGの判断基準を明確にして欲しいという人もいます。
でも、判断基準は絶対に明確になりません。

すごく簡単に言うのなら、明確な判断基準を作れば工業製品の管理と同じになるからです。
大量の生産物を不良品と良品に分けるだけ。

企画は毎回の提出時に、社会情勢も違うし会社の状況も違う、
提案内容も違うのなら判断基準など、つくりようが無いのです。

もし、判断基準を明確にすれば、そもそも、その上司は不要です。

もちろん、過去には、判断基準を明確にして機械化しようという試みはありました。
データを分析するソフトウェア、製品名を挙げるならSAP/R3やらSalesForceやら奉行シリーズなど。
統合経営ソフトを発展させてビジネスインテリジェンス(BI)なんてものもありました。

しかし、経営者の期待とは裏腹にツールは自動的に判断を下せませんでした。
ソフトウェアは、あくまでも意思決定支援ツールでしかありません。

やっぱり、最後には人間が必要だったのです。
機械では世の中のトレンドや自社が置かれた状況など、さまざまな「世の中の空気」を読んで判断できないからです。
もっとも、上司自身の存在意義のために機械化にならない(しない)という本音もあります。

話を戻すと、上司の個人的な資質、判断基準こそがNGの基準というわけなのです。
上司の判断基準は明確さではなく、むしろ曖昧でアナログで直感で気分次第でよいのです。

なぜ、気分次第でよいのか?
それは、切り出すタイミングによって企画が通るチャンスが生まれるからです。
もし、基準が明確なら、そもそも上司が人間である必要すらなくなるでしょう。
では、なぜ、上司がNGを出すのでしょうか?

上司がNGを出すときの思考を紐解く


悩み「上司の頭が固くて困る」上司の考え方には3つのタイプがあります。

多い順に、メッセンジャー、責任を取りたくない、強烈な成功体験です。
もちろん、例外も数々あります。
ともあれ、あなたの企画に問題は無い(これは、大前提です)のに通さないのは、この3種類のタイプに分類できます。

メッセンジャー上司


頭の固い上司で一番多いタイプです。

メッセンジャーは上司の上司の伝言役です。
一種の責任回避型とも言えますが、この上司はさらに社長とか取締役という上役の手足となって働きます。
(現場にとっては)どんな理不尽な命令でも上役の指示通りに働かせようとします。
下から(現場から)企画書なんか提出されることは、上司の上司による指示にはないので混乱してしまうのです。
あくまでも自身の思考を停止した上意下達の人なのです。
やっかいなのは、上司の上司はこういった人がお気に入りなのです。
いわゆるイエスマンですから、会社が順調なときには出世もしやすいのです。
会社が傾く原因はイエスマンばかりを周囲に集めたためと言われます。
人間は苦言をきらいますから、しかたないことでもあります。

責任を取りたくない上司


一般的な頭の固い上司です。

責任を取りたくないタイプの上司は少々厄介(やっかい)です。
なぜかというと、責任を取らなかったために実績を挙げているからです。
成功体験は、「何もしなかった(責任回避)」によるものなのです。
これは、リスク回避とは違います。
リスク回避とは、実施したときのリスク(ようするに損失とかです)を計算して、被害を小さく留めることです。
責任回避は被害の大小にかかわらず、現状を変化させたくない。
だから改革する企画にはウンといいません。

なぜって?

責任回避という成功体験があるからです。
何もしなかったから成功したのです。

とはいえ、この人は上司になっているという事はヒラから始まって昇進しているということです。
会社が長く続いていれば、現状を変えようとした人達はいたでしょう。
上司の同僚にも、そういう変えようとした人達はいたことでしょう。
でも、現状を変えるにはそれなりに責任を取ることになります。

いろいろと変化させようとすると失敗することもあります。
失敗すると責任を取って最悪の場合はクビです。
ところが積極的に変化させようとする人と距離を置けば責任を取ることはありません。
友達が少ないというか協力しなければ責任をかぶらなくて済みます。

責任からずっと逃げ回っていれば、失敗しないわけでライバルがいなくなります。
責任を回避(何もしないという事ですね)続けているうちに、周りのライバルが自爆して生き残ったのが責任を取りたくない上司というわけです。
他に、めぼしい人がいなくなれば、必然的に昇進するということです。
自然淘汰の強みですね。

余談ですが、日本の意思決定に多いパターンを紹介します。
それは、「責任者がよくわからない」ということ。
稟議書に判子が多いのは責任の所在を曖昧にするためです。
みんなで承認したんだから、誰の責任でもない、みんなの責任だということです。
結局、うやむやになる。
こうして会社がうやむやに運営されることになります。

強烈な成功体験を持つ上司


例を挙げましょう。
日本を代表する天才技術者といわれる本田宗一郎も歳重ねて頭が固くなったといわれた頃があります。排ガス規制対策車CVCCを搭載した初代シビックの開発です。
現場の若手エンジニアが水冷エンジンを提案しているのに、本田は新たな考えを受け入れず拒否して空冷エンジンにこだわります。
ずっとバイクが空冷でしたから、成功体験から「空冷が一番」から離れられなかったのでしょうね。
結局、水冷エンジンの成功は、本田自身に頑固さを気付かせることになり、引退を決意させます。
本田宗一郎ほどの人でも過去の成功には縛られるのですから、強烈な成功体験を持つ上司の頭の固いのは無理もありません。

ジリ貧の会社に頭の固い上司がいる


こういった上司のいる会社に共通することは、業績はどドカッと落ちず、気にならないほどジワジワと落ちています。
いわゆるジリ貧の会社です。
現場を見ている担当者はジワジワと業績の落ち込んでいることを肌身で知っていますから、凄く危機感を持っている。

ところが、頭の固い上司は、改革の企画には簡単にOKを出しません。
ちまたで、よく耳にする話です。

なにしろ、従来のやり方を変えて新たに企画するわけですから、上司にとっては過去のやり方を否定することにつながるわけです。
上司は自分の存在価値を否定されると勘違いしてしまうのです。

ジリ貧ではなくて、ドカ貧(という言葉があるかどうかはおいておいて)だと、ただちに改革だと経営者も管理職も叫ばなければならなくなります。
タイタニック号が氷山に衝突して沈もうとしているときには、救命ボートはどこだ! と叫ぶのと同じ理由です。
倒産の危機を乗り越えV字回復したという会社という話、良く聞きますよね。
これが、危機感の共有なのでしょうね。

とはいえ、会社業績が横ばいやジリ貧のばあい、ただちにどうと言うことはないので、呑気にしてられるわけです。

そんな上司でも過去に企画を通したことがあるはずです。
上司になるには社歴が長いか業績をあげたわけですから、すべての企画をNGということはないでしょう。

頭の固い上司のタイプ別攻略法


それぞれの上司のタイプは次通りです。

  • メッセンジャー上司
  • 責任を取りたくない上司
  • 強烈な成功体験を持つ上司

メッセンジャー上司の攻略


メッセンジャー上司の攻略
簡単に言えば根回しです。
上司の上司の上役にそれとなく伝える。
面倒くさいかも知れませんが、効果的です。

「企画を温めていて、直属の上司に提出準備しています」ということを伝えるのです。
話しかける場所は無防備な状況を見計らいます。
同性の上役なら手を洗っている瞬間とか、リフレッシュコーナーなどです。
その際に、企画を通してくれないなどと、直属の上司の批判を一切してはいけません。
どんなに嫌いでも直属の上司の良いところ「残業中の私に声をかけてくれて気遣いに感激した」とかをそれとなく伝えます。

上役に合うたびに、あの企画の完成度はもう少しですなどと伝えていくうちに、あなたの直属の上司の耳に入ります。
「なんだか、○○(あなたのこと)が企画を用意しているようだな」とか伝わったら、上司の方からあなたに「何か見せたいものが無いか?」と聞いてくれます。

責任を取りたくない上司の攻略


責任を取りたくない上司の攻略

責任回避は恐怖の克服です。
恐怖の元凶は、過去に実績がないからです。

そこで、当たり前の小さな実績をつくります。
全体を変えるほどではないけれど、当たり前だという事。
会社に30分早めに来て何かをしたいという企画を出します。
別に会社前の歩道を清掃したいでも構いませんし、部署内で読書会を開きたいとかでも良いのす。
流行のドラッカーを読むといった感じでしょうか。

これで、ダメと言われたらダメの深度を探りつつ敷居を下げます。
こうして、ウンという場所を探して上司のウンを増やして行きます。
実行できたら、「上司のお陰です」と、ことあるごとに感謝を伝えます。
これが実績につながります。

こうして、ダメの深度を探りつつ徐々にダメの敷居を上げていけばいいわけです。
恐怖に馴れればダメとウンの境界が曖昧になっていきます。
小さな実績を積み重ねて、いつの間にか大きな実績にしてしまうのです。

強烈な成功体験を持つ上司


強烈な成功体験を持つ上司の攻略

実績があるだけに一番厄介な上司です。
過去に実績を挙げたとしても、現在も同様に成功するとは限りません。
現場の営業から離れて久しい上司などはこのパターンが多かったりします。
こういった上司は「朝からお客様の家の前で待っていて、出勤する時を狙って契約してもらった」とか武勇伝を話します。
それ、今だとストーカーですから。

そうした上司には、もっと武勇伝を聞いてしまいます。
そして、その通りに試します。

もしかしたら、過去のやり方でも通用するかも知れませんけれど、世の中は変わっているので、ほとんど通用しないでしょう。
でも、この手の上司は過去の成功パターンを部下にそのまま使わせようと思っています。
だのに、部下が思い通りに動かないからいらだっているのです。

だから、上司にやり方を根掘り葉掘り聞いて、その通りに実行します。
上司によっては、やり方を説明しているうち、自分自身で通用しないと気が付きます。
でも、そうした自分のやり方を改める上司は少数派です。
たいていは、ごり押しします。

そこで、正確に再現して、上手くいかなかったことを逐一報告します。
そのうち、自分で考えろ! と言ってきますから、考えましたと企画を提出します。
上司も手詰まりですから、飲まざるを得ないということです。

企画は三案件を提出する


いずれも企画や案件をただ持っていくだけではいけません。
上司に、やるか、やらないかの二者択一を迫るからです。

できれば、三案くらいは提出します。

・あなたが通したい案。
・上司がウンと言うであろう最低ラインの案。
・その中間の案。
という三案です。

その上で、上司にどれがイイですか? という持っていきかたです。

三案の中から選ぶという前提になっています。
つまり、実行が前提になるのです。

二者択一だとノーと言いやすいわけです。
三案あればそのうちから上司が選ぶという心理になります。
結論としては「企画と言えないような企画、上司がウンと言いやすい小さな企画を見つける」です。

たとえば、共有部分、コピー機の周りが失敗プリントでゴチャッとなっているとか、乱雑になりがちでしょう。
そこで、朝早く出社して共有スペースを整理しても良いですか? というくらいから始めれば、ノーとは言いにくいでしょう。
共有スペースの整理のみならず、手が回らないところをわざわざやります。
これなら、いくらでも仕事があって、上司に限らず誰かやって欲しいと思っているはずです。
人が嫌がることなら、いくらでも仕事を見つけられるわけです。
この、嫌がる仕事にいちいち決裁をもらいにいくのです。

上司もウンを繰り返せば、ノーと言いにくくなる。

結局は、実績を積み重ねて信用を得るということになります。
この嫌なことは、他の人も気にしているでしょうから、周りの人に「悪いな」という借りをつくれるメリットもあります。ちょっと、腹黒いですかね。

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